オリーバス提携

  2024年、アカデミアは革新的スポーツクラブ「オリーバス」と提携し、新たなチャレンジに挑みます。それがルネサンス・プロジェクトです。オリーバスとアカデミアは次の点で認識が完全に一致しています。


⒈ 人間の知性は、暗黙知を要に「心・身・知」が一体となって初めて完成する。

⒉ その暗黙知を科学によってモデル化、誰でも学べる形(プロトコル)に仕上げるのが教育学の役割である。

⒊ プロトコルとは「勘」や「コツ」と呼ばれている熟練者の経験知を共有可能にするために言語化した規則である。

⒋ 教育の使命は、訓練を通じて子どもたちに様々な能力分野のプロトコルを身に付けさせることで全体知を整備し、個人の幸福の実現、ひいては社会全体の進歩に資することである。


 以上のような共通の哲学に基づき、人間知性に対して、これまでオリーバスは身体知の側面から、アカデミアは学習知の側面から、別々に迫ろうとして来ました。それがこの度、互いのヴィジョンの親和性と補完性に気付き、「全体知」を養成する新たな教育システムの構築を目指して2024年度より協働することになったのです。


 しかし私たちは、旧来のマウント教育を助長するために最新科学を利用しているのではありません。偏差値や競技成績でマウントを取らせる教育、そのマウントこそ個人のアイデンティティだと思い込ませる教育の時代はもうすぐ終わります。私たちが見据えているのはその先です。


「オリーバス=オリーブの木」という名前には、子どもたちの実り豊かな人生のために、社会という大地の恵みを「知」というエッセンスに凝縮して枝の隅々にまで送り届ける大木でありたいという願いが込められています。他人に勝つのではなく、自分に克つ「人生のスペシャリスト」を育てる。本物の身体知のスペシャリスト、本物の学習知のスペシャリストになるためには、先ず人として本物でなければならない。一番になる必要はない、他人を押しのける必要もない。自分が本物になれば良い。本物であれば、たとえ順位が付かなくても人生は豊かになります。そして、プロとして高みを目指すことが自分の生き様であるならば、それを土台にさらに先へ進めば良い。それが私たちに共通する哲学です。


 15世紀イタリア、長きにわたって人間を抑圧してきた宗教と迷信からの解放を目指した人々は、全体知の獲得こそ理想的な人間の在り方だと考え、それが新たな文化の原動力になりました。すなわち、イタリア・ルネサンスです。


 今私たちは、子どもたちを抑圧し疎外してきた20世紀型の大人が勝ちたいだけの教育、マウンティングで子どもの人格を歪める教育、データやエビデンスに基づかない迷信的教育から子どもたちを解放するため、科学的なアプローチで全体知の獲得に挑みます。それこそが、ルネサンス・プロジェクトなのです。