コロナ下の株高が示唆する未来
コロナと株高
最近は一服していますが、3月16日に大底を打って以来、悲惨な経済統計に反して世界の株式市場は猛烈な勢いで上昇し、コロナ前の水準を回復しました。この矛盾した状況を私たちはどう見れば良いのでしょうか?理由としては次の三つの仮説が考えられます。
一つ目は、コロナ不況とはいえ全業種が不振な訳ではないので、ハイテクや情報産業などむしろコロナで儲かっている業種に資金が流れ込んで相場を牽引しているという説。
二つ目は、緊急経済対策で政府と中銀が供給した大量の資金が行き場を失って株式市場に流れ込んでいるという説。この場合には、一種のバブル状態なので、何かのきっかけでバブルが弾けて大暴落という可能性があります。
三つ目は、緊急経済対策で過剰に供給された資金が将来物価を押し上げる見込みが大きいので、大量に資金をもっている個人や機関投資家が貨幣価値の逓減を嫌って株式市場に資金を移しているという説。つまり、株式市場の好調は好景気の現れではなく、これから到来するハイパーインフレの凶兆であるという考えです。
いつものことですが、どれが正しいのか私には分かりません。
一番ありがたいシナリオは一つ目なのですが、現実の経済指標とコロナの先行きを見る限りでは一番眉唾ものです。
二つ目のシナリオは、大暴落とそのショックによる恐慌の可能性があるので、そうであって欲しくはありません。
三つ目は、これが一番妥当なのですが、ハイパーインフレが起こった暁には持つ者と持たざる者の格差がさらに拡大することになるでしょう。
いずれにしても、今後の株式市場の動きが自ずからどのシナリオが正しいのか示してくれるはずです。
株高が続かず、暴落があればいよいよ私たちは経済恐慌に備えなければいけないかもしれません。
一方で、世界経済の低迷とは裏腹に株高が続き、さらに上値を目指すようならば、それは遠くない将来のハイパーインフレと金利の上昇に身構える必要性を意味するのです。
(2020年9月23日記)
【追記】
三つ目のシナリオが進んでいる可能性が高まって来ました。
明日(11/10)のクレージーな株高は「株高」ではなく、緩和資金による将来のハイパーインフレから逆照射すると、今の株価でさえも割安に見えるという未来を示唆しているのかもしれません。
(2020年11月9日記)
【追記】
十年単位で見たとき、私たちが身構えなければならないのは目先のコロナや企業倒産、失業ではなく、物価と市中金利の上昇であることが鮮明になってきました。十年どころか来年かもしれませんが。いや水面下ではすでに進行しています。全体像については後日記します。(2020年11月24日記)
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