再考:2021年度高校入試倍率予想(2020年12月11日)
ロックダウン中の4月、5月に2021年度の高校入試について考察をしてから半年が過ぎいよいよ本番が近づいてきました。
結論から言うと、19期生の仕上がりは全体としては過去最速(人にもよりますが)で、倍率がどうなろうと自力本願で合格できそうな仕上がりを見せているため、今となっては他力であるところの入試倍率はそれほど気にはなりません。
ただ予想を公にしたからには、その内容をアップデートする責任があります。よって、現状を踏まえて半年前に立てた予想を再考したいと思います。
ロックダウン中と現在では何が違うか?
前稿で示した通り、過去十数年にわたって景気と都立高校の入試倍率には客観的に強い相関関係があります。そして、ロックダウン中にはGDPや株価は過去最大の落ち込みを見せました。しかし、現在はどうでしょう?
たしかに足下では失業率が上昇し、中小企業の倒産・廃業は後を絶ちませし、GDPも企業業績もコロナ禍以前には戻っていませんが、株価はバブル後最高値を更新しました。
それが問題です。
前稿で示したデータでは、分かり易い景気の指標として日経平均を用いることができましたが、今は緩和資金によって株価だけが実体経済を無視して釣り上がっています。つまり、株価と実体経済の間に合理的な相関関係が成立しなくなってしまったのです。よって、これまでの歴史を踏まえると、景気と都立高校の入試倍率の間に相関関係が存在するのは間違いありませんが、株価と実体経済が股裂きになっている現在、株価以外の指標、そして消費者心理から景気の状態を推し量るしかないのです。
では、目下の日本の景気はどうなのでしょうか?
これがさらに問題は複雑です。メディアは飲食業や旅行業、デパートなど一部の業種の惨状を取り上げるので、印象としてコロナ禍で日本全体が暗雲に覆われているように感じますが、実際にはまだら模様で、トヨタのように好決算の企業や業種、コロナの影響を受けていない企業や業種が多くあります。さらに、緊急対策融資制度のおかげであぶく銭を手にしたり、低利での借り換えに成功した個人事業主は不景気どころか好況を呈しています。それはリーマンショック時と同じです。
よって、今は日本全体、東京都全体を一蓮托生に景気判断することができないのです。コロナ経済は、ある所得層やある社会階級にとっては不況でも、別の所得層や社会階級にとっては好況、もしくは無問題である。
つまり、コロナ禍による経済停滞とそれに引き続く非伝統的な経済対策は、以前から日本社会で始まっていた格差社会と諸企業、諸業種の淘汰を早回しで進行させているのであります。
そのような諸前提からどのような結論が導かれるか?
以下は特にエビデンスもありませんので、評論家の競馬予想ぐらいにご笑読ください。
経済的に余裕のある社会層は従来通りの行動をとるので、早慶、開成と併願される日比谷、西、国立の倍率は景気が理由では昨年から驚くほどはあがらないだろう。ただし、今年度の大学進学実績が好調だった国立は、それが理由で人気が高まる可能性はある。
比較的学力は高いが景気の影響を受けやすい社会層は、都立を落ちた場合の私立進学を回避するために日比谷、西、国立を回避して中堅の自校作校を志望する可能性が高いので、八王子東の倍率が例年より上がると考えられる。
内申点は高いが本番の得点力に自信がなく景気の影響を受けやすい社会層は町田、日野台といった一般作の上位校を避けてランクダウンをするので、南平、翔陽の倍率が例年よりも高くなると思われる。
学力が低く最も景気の影響を受けやすい社会層は都立一択とならざるを得ないので、意外と低位校ほど倍率が高くなると思われる。
いずれにせよ、19期生に倍率は関係ありません。どんなに倍率が高かろうが怯まずに戦うしかない。そして、戦う相手は他人ではなくて自分です。
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