歴史の感覚3(2019年11月19日記)
「アノマリー」という言葉があります。なぜそうなるのか因果関係は分からないのだけど、ある規則性をもって起こる出来事のことで、一般的に言われる「ジンクス」とほぼ同じ意味と考えていいでしょう。
さて、世界史を概観してみると興味深いアノマリーが数多く見つかります。その一つが、フランス革命以降、一の位が「9」の年に歴史の大きな転換点となる出来事や制度が起こっているということです。そこで、試みに振り返ってみましょう。
【1789 - 2019年のアノマリー】
1789年 フランス革命/アメリカ合衆国政府発足
1799年 第二回対仏大同盟/ナポレオンのエジプト遠征
/ナポレオンが統領に就任/ワシントン死去
1809年 教皇領併合→ナポレオン絶頂期/メッテルニヒ外相就任
1819年 なし(1820年ミズーリ協定、カルボナリ党の反乱
/1821年ナポレオン死去、メッテルニヒ首相就任、ギリシア独立戦争)
1829年 なし(1828年ドイツ関税同盟)
1839年 エジプト=トルコ戦争/林則徐の英国船臨検→アヘン戦争
1849年 アメリカ・ゴールドラッシュ
/(1848年二月革命・三月革命/1851年太平天国の乱)
1859年 イタリア統一戦争/ダーウィン「種の起原」
/(1961年アメリカ南北戦争)
1869年 スエズ運河開通/
(1867年マルクス「資本論」/1870年イタリア統一/1871年ドイツ統一)
1879年 なし(1978年ベルリン会議→バルカン半島の分割が事実化)
1889年 第二インターナショナル結成/大日本帝国憲法発布
1899年 ドイツが3B政策を開始/レーニンがボリシェヴィキを結成
1909年 なし(1908年オーストリアがボスニア併合
/1910年日本が韓国併合/1911年辛亥革命)
1919年 第一次世界大戦終結→ヴェルサイユ体制
1929年 世界恐慌
1939年 第二次世界大戦勃発
1949年 中華人民共和国成立/NATO発足/ベルリン封鎖→東西ドイツ分裂
/第一次中東戦争
1959年 キューバ革命→キューバ危機/中国のチベット侵略
1969年 アポロ11号月面着陸/カダフィ政権成立/中ソ紛争
/アラファト政権成立/プラハの春(1968)/フランス五月革命(1968)
1979年 アフガン侵攻/サッチャー政権成立/サダム・フセイン政権成立
/朴正煕暗殺
1989年 ベルリンの壁崩壊/天安門事件
1999年 ユーロ発足
2009年 リーマン・ショックの底 → GMが破綻
2019年 ?
こうやって振り返ると、不思議なくらい一の位が「9」の年が時代の節目になっています。もちろん、ただのアノマリーなので何の因果も数字の魔術もありません。あえて言えば、一つの出来事が起きてからその影響が一巡して次の出来事が起きるまでのサイクルが、十年程度なのかもしれません。
たとえばフランス革命が1789年に起こり、その挫折としてナポレオンが1799年に登場し1809年に絶頂を迎え、1819年に死去したという具合に。
あくまでアノマリーですから何とも言えませんが、タイムラグまで考慮しても2022年までに何も起こらなかったら、それはフランス革命以後の近現代史で初めてのことになります。
いよいよ歴史は、悲劇と憎悪のサイクルから抜け出て、繁栄と平和という最終段階に入ったのでしょうか。それならば、いたって結構な話です。それとも私たちは、まだサイクルの単なる誤差の中にいるのでしょうか。
今年は、各国政府と中央銀行によるリーマン・ショック対策の金融緩和開始から十年の節目です。
了
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