「新時代、タフな教育、英語の時代」2

【タフな教育】

 前述のように、はからずも私たちは今時代の転換に立っています。来るべき次の社会においては、求められる人材も変われば教育も変わる。しかし、そもそもそれとは別件で、十年前にゆとり教育から舵が切られた時点ですでに、2021年における教育大改革は予告されてました。そして、まさに今年がその年なのです。

 文部科学省が公にしている、21世紀の教育大改革に関する長くて回りくどい大綱の行間を読み、平易に言い換えると次のようになります。

「日本は今、厳しい国際競争にさらされている。将来にわたって日本がその競争を勝ち抜いて生き残るためには、日本の経済・文化・社会を牽引できる世界基準で優秀な人材が必要である。そのような人材を育成するには、これまでの全員が分かることを目標とする平等教育ではなく、一部の人間にしかできなくてもいいから、本物のエリートを鍛えて選別するための選別教育へと普通教育を転換しなければならない。」

 それはすなわち、敗戦後70余年続いた「みんな一緒」の教育から、エリート育成を目的として設計されていた戦前の旧制学校制度に近い形への方向転換です。前置きはこれくらいにして、結論を急ぎましょう。

 今年から導入される新しい教科書は、情報量が増え内容も難しくなります。端的に言えば、これまでの「だれでも分かる」ことを目指した教科書から、「分かる人だけ分かればいい」「やる気のある人だけができればいい」教科書へと変わるのです。義務教育の目標が、民度の底上げからエリートを叩き上げる発射台へと変わったからです。よって、これまででさえもやらない人間、やってはいるが間違ったやり方でやっている人間にとっては相当ハードルが高かった義務教育ですが、今年からはそれがさらに顕著になるでしょう。つまり、相当やらないとできない。しかも正しいやり方で。タフな時代です。

 続きがあります。

 過去30年間の入試をふりかえると、これまで10年に1回の教育大綱の見直しと5年ごとの教科書改訂のたびに、それに合わせて高校・大学入試問題も難化をしてきました。

 そのサイクルを当てはめると、まず第1段階として2022年度の入試問題が難化、新傾向となるのは間違いありません。次に第2段階として、1年生から新しい教科書で学習をした子供たちが受験を迎える2024年にさらに難しくなります。

 たとえば都立高校の入試問題を見ても、今でさえもちょっとやそっと勉強したぐらいでは歯が立たないくらい難しいことを考えると、来年以降の新傾向の入試問題は相当に手強くなるでしょう。中1、中2は内申対策で受験勉強は中3の12月からなんて悠長な決まり文句は死語になります(本当は今だってそんなペースでは間に合わないのですが)。タフな時代です。

 

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