中学生、定期考査対策授業を十年ぶりに復活します
うれしいことにこの春、高校部第15期生の全員が五月雨式に来訪してくれました。思い出話に花を咲かせ、就職をとりあえず人生の一つのゴールと考え、小学生時代からを振り返った時に、役に立ったと思うのは何かと尋ねたところ、「中学時代にテスト対策授業でプリント束をこなしたこと」という答えが帰ってきました。私はその答えを聞いて唖然としました。事の次第は以下の通りです。
アカデミアでは2000年から2014年まで、中学生の定期考査前には、土日に生徒を呼んでテスト対策授業を行っていました。その内容は、テスト範囲の全重要事項を網羅した暗記テストと教科書準拠のテキスト問題をコピーして綴じた、通称「束」の練習です。
通常、主要5科のテスト範囲を「束」で三周はするので、定期考査前の勉強量は少なくとも百ページを越えたものです。その背景にあった考えは別項でも述べたように、自分では勉強しない「ゆとり教育」の子どもたちに、強制力で万全のテスト対策をするというものでした。
ただ、そもそも私自身は練習は量より質を重視する人間であるし、市井の学習塾のように内申点や定期考査の得点を追求することにも懐疑的でありました。さらに15期生は自ら進んで努力ができる人たちだったので、強制的にやらせないと勉強しない人たちのための課題を、自分で勉強できる人たちに課すのは忍びないと思い、15期生が中2になった時に思い切ってテスト対策補習を止めたのです。
ところが、テスト対策の「束」を迷惑に感じているのだろうと慮って、それを止めるきっかけになった当の彼女たちが、実はそれが良い鍛錬だったと大人になってから証言した。私が唖然としたのも当然です。
彼女たちの言い分はこうです。
たしかに「束」をこなすのは大変だったけど、量に慣れることで高校以降の勉強が楽に感じた。また、ある程度の量をこなさないと重要なポイントやパターンは見えてこないという事実に気が付けたと。
つまり、テスト対策で大量の「束」を与えた事は、本来の目的である定期考査の得点アップという射程を超えて、図らずも彼女たちの大学受験、さらにその後のよりタフな本物の勉強の礎となっていたのです。
そう考えると、私の浅慮故に鍛錬の機会を与えられなかった16期生から22期生には大変申し訳ない事をしてしまったと思います。
そこで、15期生の進言を取り入れて、今学期より10年ぶりに中学生の定期考査対策を復活させます。単に定期考査の得点のためという近視眼的な発想ではなく、各方面で目覚ましい活躍をしているアカデミアの諸先輩に続くための礎だと思って取り組んで下さい。
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