コロナと受験

このコロナ禍と消費税増税を受けて、2021年の都立高校受験においては再び高倍率が予想されると、別項において指摘しました。

しかしながら、景気と受験の相関関係はそれだけではありません。


それは中学受験です。

数年前のある時期に中学生の模試で偏差値が取りづらくなりました。たとえば、15年前なら80点をとれば偏差値67だったのが、数年前からは同じ80点でも偏差値62しか出ないという具合に。


ご記憶の方もいらっしゃると思いますが、それに対する私の分析は、リーマンショックが尾を引き2010年から景気の先行きが不安視されたため(コロナもそうですがショックから一年程度は楽観の方が強い)、高学力層が公立中学へ大量に流入、学力平均が上がったからだというものでした。よって、彼らが大学受験をする年には都立高の実績が飛躍するであろうと。


その後、事実はその通りになりました。

これも分かり易く都立国立高校のデータを見てみましょう。なお、ある高校の大学進学力を測定する最も客観的な目安は慶応大と東京理科大の合格者数を見ることです。


その理由は以下の通りです。

まず、一般的には目安とされている東大は、好みが分かれるところなので、たとえ東大に入れる学力があっても一橋大や東工大に流れる生徒が多数いるので(東大の合格者数が突出している高校は伝統的に東大至上主義による洗脳が浸透している)、東大の合格者数だけではその高校の本当の進学力を測ることはできません。


第二に、早稲田は偏差値の低い枝葉の学部がたくさんあるので、早稲田の合格者数は玉石混交だからです。


第三に、難関国大文系の合格者は慶応を併願し、難関国大理系は東京理科大を併願するので、その合格者数を見ると、その高校の学力優秀者の実数がつかめるからです。


【都立国立高校 合格者の年次別推移】(慶応大指定校推薦枠3名を除く)

中学入学/ 高校受験/ 大学受験 /慶大合格者 /理科大合格者

2009年/2012年 /2015年 /18人 /25人

2010年 /2013年/ 2016年/ 41人/ 34人

2011年/ 2014年/ 2017年/ 39人 /42人

2012年/ 2015年/ 2018年/ 24人/ 25人

2013年 /2016年 /2019年/ 12人/ 25人



ご覧の通り、リーマショックとその後のヨーロッパ債務危機で「百年に一度の経済危機」が喧伝されていた2010年と2011年に公立中学進学を選択した高学力層が、その6年後の大学受験で高い実績を挙げています。

以上を踏まえると、景気の動向と中学受験の倍率、そして高学力層の公立志向の間には誤差の範囲を超えた強い相関関係があると思われます。


では、平たく言えばこれから何が起こると予想されるか?

先述のように高校受験の倍率が高くなるのはもちろん、2021年以降に中学に入学する現小学生が都立高校受験を迎える時には、コロナ不況がなければ私立の中高一貫校へ流れているはずの高学力層の子供たちが、かなりの人数で都立高校を受験して来ると言うことを意味します。つまり、合格基準点が著しく上昇する。


よって、今の小学生5年生以下は、2024年以降に襲ってくるであろう都立高校受験の超高倍率と超難化のダブルパンチに備えを固めなくてはいけません。


もちろん、今はまだ学校教育の正常化にはほど遠い状況です。ですが、以上を鑑みてアカデミアでは4年後を見据えて、すでに戦略の見直しに着手しました。

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